驚くべき子どもパワー
(どもんせんせい

 今年で、教員二年目の、まだまだ未熟な私を支えてくれるのは、子どもたちです。二年目ゆえの経験不足、保育の未熟さを痛感し落ち込んだり、悩むことはしばしばありましたが、そのたびに私に力をくれるのは、子どもたちでした。毎日子ども達とともに生活する中で、子どもたちの成長を目の当たりにしています。そして、子どもたちの育つ力に驚かされ、励まされているのです。

 四月当初、初めての集団生活の中、たくさんのトラブルがありました。遊びの中で、気の合う友達を見つけたN君。お弁当の時間になり、どうしてもその友達の隣に座りたいのですが、他の友達も譲りません。子どもたちの中では、先に座った子が優先。それでも変わってほしいときは、お願いするのですが、このときは、その手段も通じず、N君は、どうしても座ることができませんでした。「N君、今日はお友達もここがいいんだって・・・。今日は遅くなっちゃったから仕方ないね。明日は、早く準備して座ろうね・・・」しかし、N君はどうしてもそこに座りたくて、お弁当も食べずに、その場で、何分も黙ってしまったんです。そんなことが何度かありました。黙ってしまうか、駄々をこねるかだったN君ですが、二学期になり同じようなシチュエーション・・・「じゃ、明日は一緒に座ろうね。」そういって席を移るN君のすがたがありました。いつの間にか、自分の思いを出すだけでなく、抑えることもできるようになっていたんです。そんなN君の姿に成長を感じ、感動したのを覚えています。

 遊びも、友達関係も深まってきている、三学期。クラスのみんなでレストランごっこをすることに・・・本物のお菓子を使っての遊びのため、かなり楽しみにしていたのですが、いざ予定をしていた日になると、風邪などの流行のために欠席が多かったのです。教師の思いとして、楽しい経験はできるだけ共通体験してほしいと思い、延期を切り出そうかな・・・と思いつつも、あれだけ楽しみにこの日を待っていた子どもたち。きっと大ブーイングだろうと思っておりました。それが、いざ「今日はレストランごっこの日なんだけど・・・」と話し始めると、子どもたちから、「先生、今日お休み多いね」「じゃ、今度にすれば??みんな一緒のほうがいいよね」そんな発言が飛び出したんです。ここまで、さまざまな経験をともにしてきた仲間を思い、休んだ友達の思いに立った発言だと思います。自分が楽しいだけでいいのではなく、友達の思いに立って考える力も育っているのですね。

 年中も終わりに近づき、遊びの中でも、友達と一緒に楽しむ、ルールのある遊びにも取り組んでいます。例えば鬼ごっこ。初めの頃は、鬼を決めるのもひと苦労でした。「僕も、私も・・・」という子がいるかと思えば、つかまってしまい、鬼になるのが嫌で泣く子も・・・。そんなことを繰り返しながら、どうやったらみんなが楽しく遊べるのか、試行錯誤しながら考え、子どもたちとともにルールを決め遊んできました。そういったことを積み重ねるうちに、楽しさを味わい、ルールの良さに気づいてきたのでしょう。今では、子ども同士で、どうしたら楽しくなるのか、そのためには、どういった方法があるのか話し合い、何とか自分たちで解決しようとする姿も見られるようになりました。自分の考えを出す、また、友達の考えを受け入れる、そして、自分たちで遊びを進めようとする力も育ってきています。
 
 ここに挙げたほかにも、まだまだ子どもたちの成長を感じることは、山のようにあります。ちょっと前まで製作には、なかなか興味を持てなかったS君が、太いながらも何とか自分の力で剣を作っていたり、野菜嫌いのNちゃんが野菜も残さず食べていたり・・・そんな友達の様子を見て応援したり、励ましたりする子もいたり・・・本当に驚くべき、子どもたちの育つパワーだと思います。そして、その育ち行く子どもたちを毎日見続けることのできる私は幸せだと思うのです。気づけばいつの間にか成長したように感じる子どもたちですが、突然そうなったわけではありません。そこまでのたくさんの経験から、心揺り動かされさまざまなものを吸収し成長しているのだと思います。そう考えると、毎日一緒にいる私の何気ない一言や、行動も子どもたちにとっては、大きな存在かもしれません。常にそのことを気に留め、子どもたち一人一人とのかかわりを大切にしてきたつもりです。時に、子どもたちの前に立ち、解決の糸口をつかめるように援助する存在であったり、時に、同じ目線で同じ事を見て、感じる存在であり、また、時に、その子の育ちを見守り、後ろから後押しするような存在でありたいと思います。    

 子どもたちの無限のパワーを信じ、今、この時しかないその子の大切な一日一日が、実り多きものとなるよう努力していきたいと思います。